「ニート」って言うな!
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説得力もあるし面白い。 |
3人の著者による「ニート論ブーム」批判。それぞれの原稿を持ち寄った3部構成になっている。私なりにまとめると、本書が全体として発しているメッセージは以下の3点。
第1に、本来「ニート問題」が若年失業者問題という労働経済問題であるにも関わらず、それを失業者自身の心の問題、教育の問題として扱うことが、的外れな対策を推進させ根本的な問題を現状のまま放置させるという意味で、むしろ問題の解決を阻害している、ということ。
第2に、そもそも「最近の若者は、生きる意味を見出せない、働く意欲を欠いている、コミュニケーション能力に問題があり他者との関わりを苦手とする、凶悪犯罪を犯しやすい」といった、マスコミの流布する「無力で危険な若者」言説には何ら根拠がない、ということ。
第3に、そういった言わば「青少年ネガティブ・キャンペーン」は社会の不安感をいたずらに煽り立てるため、それがなければ到底考えられなかったようなムチャクチャな制度導入を実現したい政治の立場から利用される、ということ。
タイムリーな本だと思うし、説得力もある。私自身は「社会の心理学主義化」にちょうど関心をもっていたので非常に面白く読んだ。唯一残念だったのは、文章スタイルが悪い意味での人文・社会・思想系独特(?)の言い回しを多く含んでいて、慣れない私には読みづらく感じた箇所が多々あったことか。
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マスコミに対する警告書 |
いわゆる「ニート」には批判的であるが、商業主義のためなら何でもするマスコミにはいい加減呆れるのもまた事実。本書はそれを痛烈に批判している。マスコミは常に注目されなければならない。そうしないと、収入である広告が入ってこない。だから、法に触れない限り、何でもする。広告代理店はそれを後押しする。そんな構造が社会におかしなメッセージを発することがある。その影響は多大だ。取り返しがつかない。しかし、マスコミや広告代理店は、一切責任を負わない。(おまけにマスコミや広告代理店は、モノを生み出している広告主より法外な高給をとっている)このような構造はいつまで続くのか。
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マイナスも多いが、それ以上のプラスの価値を持つ本 |
統計的に見れば若者の犯罪は増えていないし、ニートと呼ばれる層もメディアで喧伝されているほど多くないことを示し、近年の若者論が、どれだけ無根拠に語られ、受け入れられ、広まっているのかをくどいほどに教えてくれる良書。(かなり広い意味での)社会構築主義的な視点が適切な問題に用いられると、鮮やかに威力を発揮するということも教えてくれる。若者よりも若者の親世代の人に読んでほしい本である。
しかし、1、本田が解決策を教育に一元化して語りすぎなところ、2、内藤が若者(悪玉)論が生産され続ける構造を語り手の心理に還元しすぎていてミイラ取りがミイラになってしまっている感があるところ、3、後藤がニートという言葉の元々の意味にこだわりすぎ言葉の誤用をすべて悪のように見てしまっているところ、4、3人の話で被っているところも多く読み通すとやや冗長な感じがするところ。が、あるために星を1つ減らした。
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1章は良かったんだけど… |
タイトル通り。本田由紀さんの書かれた1章は、共感しながら、いいぞ!と思ったんだけど、他のお二人の章は、ぱらぱらっと読み流してしまいました。何も、1冊の本に無理やりまとめなくっても、良かったのに…。
わたしは、現在30代前半だけど、25ぐらいまで、ニートとフリーターを繰り返していました。つまり、だいたい1995年あたり。当時は、「プータロー」って言ってたような気がします。比べてみると、「ニート」って言葉には、なんともいえな?い、ねちっとしたネガティブな語感がつきまといますね。
言葉は、切り取ることによって明らかになることもあるけど、押しつけられることによって、かえってそこに閉じ込められちゃって、脱出不可能になることも。わたしの時代だと、「アダルトチルドレン(AC)」が、今の「ニート」とおんなじような立ち位置で、でかい顔してた気がします。とにかく、デススパイラルに陥ると、本人も周りも損するので、お若い方々は、くれぐれもご用心あそばせ。ーこれが、本書のツボだと思います。
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虚を突いた本! |
「全体主義とは、教育が社会を埋め尽くす事態をいうのではないでしょうか」
これは第2部の冒頭で、筆者である内藤が発した言葉である。
この一文を読んだだけでも、「何を言っているんだ」とその不可解さに怒りを感じる人もいるだろう。
しかし一方で、子どもの発見者として知られ、近代教育を語る上で欠かすことのできない古典「エミール」を著した思想家ルソーが、実は全体主義者だったということはあまり知られていない。
その意味で、この内藤の言葉は決して思いつきの浅はかなものではないことを強調したい。
この本で述べられていることがらは、一読して非常識である。しかし核心を突いている。
例えば、「青少年の凶悪犯罪は昔より遙かに減少している」という事実は、初めて知った人は驚くだろうが、実はそれほど驚くことではない。社会学関係の本ではしばしば取りあげられていることがらなのである。知ってる人から見れば、常識的なことなのである。
この本を読んでいて、なぜこうも背中を突かれているような気がするのか。それは、この本におけるニート分析は、社会学でいう構築主義という立場からなされているからである。つまり、ニートそのものを問題とするのではなくて、ある人々がニートと見なされ、それが問題と見なされた過程を分析しているのだ。
この視点の変化は、ニート問題を考える上で貴重である。
読んで虚を突かれたと思えれば、少しは思考を進める準備ができている証拠だろう。
この本は、ニート・フリーター問題を議論する上で決して欠くことができないが見落とされている重要な論点を提示している。
見事だ。


